庭の日誌

庭仕事がライフワークです。

桜の木の不定根

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写真の桜は3~4年ほど前、枝がぶつ切りにされました。
川の拡幅工事に伴う用地買収後、越境枝を切除されたためです。


切られた当時、私は「時間なし金なし道具なし」の三拍子が揃っていましたので、「ツリークライミングで適切な剪定を行う」などという甲斐性もなく、ただ指をくわえて見ていただけでした。

 

ぶつ切りにされたことで、桜の幹は大分傷んでしまいました。


ぶつ切り後、まだ本腰で庭の開拓を行っていなかった頃、この桜の周りは竹や雑草に取り囲まれ鬱蒼としていました。

 

そんなある夏の日、桜の周りを刈っていた時、ふとある事に気づきました。


桜の根元あたりの幹肌が崩れ、ボロボロに腐朽しているような感じがしたのです。

とっさに手で触れると、樹皮がボロボロと崩れ、1メートル~1.5メートルある幹周のうち1/3くらいは腐朽が進んでいました。
 

剥がれた樹皮の中には、新しい根のようなものが這っていて、どうやら土に向かって根が下りているようでした。
 

乾かしてはいけないと思い急いでスコップを取りに走り、とりあえず周囲の土を掘って根元のあたりに盛土しました。


この「新しい根のようなもの」は「不定根」というもので、根以外の部分から2次的に発生するものです。

樹木医の方などは、腐朽した桜にミズゴケやムシロを用いて不定根を地面まで誘導し、樹勢回復を行っています。
 

当時の私には、そのような理想的な処置を行う余裕がありませんでしたので、盛土くらいしかこの桜に手をかける事はできませんでした。

 
あれから2~3年が経った、今の桜の根元の状態です。

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腐朽した部分が完全に覆われているわけではありませんが、地面に下りた不定根は太くなり、樹皮に覆われています。

 

これがもっと成長すれば、「幹の中の幹」のような形で木全体を支えるようになってくれるのではないかと期待しています。

 
↓最も痛みの激しい幹=不定根と同じサイドにある主枝(写真左方の小枝の少ないもっとも傷んだ部分)

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↓桜根元付近の防草用に敷かれていた絨毯の撤去作業後。今後植生が復活し、桜の根周りの環境が改善してくれる事を祈ります。

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